上着の脇ポケットにはフラップ(雨ぶた)がついているものが多いですね。文字通り、雨などの侵入を防ぐために取り付けられたものがデザインとして活きているのです。このフラップは、日中のビジネスタイムでは外に出しておきましょう。キチンと両方のフラップが外側に出ていないこともありますので、身だしなみとしてチェックしてくださいね。そして、夜のディナーなど少し改まった場所へお出かけになる場合、フラップを内側に入れると、同じスーツでもフォーマル度がアップした着こなしになります。フラップは雨などを防ぐためにつけられたのが始まりとお話ししましたが、通常、フォーマルな場所は屋内。雨にあたることはないですよね。ですから、タキシードなどのフォーマルウェアのポケットにはフラップはついていないのです。それにならって、普通のスーツの上着でもフォーマルな場面の着こなしとしてフラップをしまいこんで着ることでフォーマル度が高くなるということですね。細かな点ではありますが、ポケットひとつの扱いに山来を語れるということもできる男の証拠といえるかもしれません。
黒という色もダイレクトに着ると似合い難い年頃である。というよりも次第に難しさが増してくる。何でもなく着ていて便利だということもあって、写真に写る自分を見て気が付いた。「何だか老けて写っているわ」明るいブルーの上下は同じ頃撮ったけれど、若々しく感じる。黒のシルクニットが原因だ。このときより黒を着るのを敬遠するようになった。しかし敬遠してしまうのもバカげた話なのだ。シルクニットのポロシャツスタイル、その素材なり形なりを考慮する必要がある。また、それを着た場合のヘアスタイルも影響してくる。日々、似合わないものが出てくるのは否めない。それをいちいち肯定していては着るものに不経済だもの。似合わないと認めるのは一日でも先送りにしたいのだ。
季節に応じて変わらないことは言うまでもなく、時代の流行に応じて基本をシステム・チェンジすることもない。変化するのは全体の微妙なシルエット、第一ボタンの位置や襟の幅、ボタンホールの有無やポケットの仕様、といった細部のみ。本質的な構成システムは頑固に変わらない。一九八〇年代にアルマーニ系ブランドの影響で出回った「ソフト・スーツ」であれ、一九九九年のミラノーコレクションで一大トレンドとなった「ミニマム・スーツ」であれ、いくら見た目の印象が違おうが、この根本的なシステムだけは百五十年間変わっていない。どうやら、スーツは、長袖シャツ+ネクタイ+長袖ジャケット+長ズボン(+ときにヴェスト)という基本システムを崩さないことに意義があるらしいのだ。
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